Chusanの
鳥撮り見鳥 旅日記 −その3−
2005年12月31日〜1月3日 北海道東部放浪 の巻
帯広への特急「スーバおおぞら3号」 キハ283系特急気動車です |
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伊藤サンクチュアリのタンチョウ | |
霧多布岬の初日の出 | |
花咲漁港のコオリガモ | |
斜里への道すがら見かけたオジロワシ | |
知府溜漁港のケイマフリ | |
十勝の雪原とオオハクチョウ | |
帯広近郊の霧 |
冬の道東は全くの未経験でいつかは行ってみたいところでした。思い立ったのはやはり秋になった9月下旬でしたが、飛行機予約開始までにしばらく日にちがあったのでのんびりしすぎてしまい、気がついたらすでに発売開始日を過ぎてしまっていました。 それでもなんとか割引切符を確保して一安心。冬の北海道は欠航のリスクも大きいので日程に余裕が持てる年末年始の休みでないと安心できません。冬の北海道ならではの鳥をたっぷり見たいとは思うのですが、どこに行けば何を見られるのか、手探りの情報収集が続きました。 結果として朝空路千歳に入り、列車で帯広に移動、ここでレンタカーを借りて道東のポイントをまわるというプランでした。 帯広に入った理由はこのところ見られているナキハクチョウを一目なりとも見たかったからです。さてどうなりますことやら、この日記の書き出しは千歳から帯広に向かう特急列車「スーパー青空3号」の中からとなります。
12月31日 狙い: 午後から行動開始、タンチョウサンクチュアリを見学して霧多布まで移動 天気:快晴
世間一般はおおつもごりとやらで、新年を前に楽しみと慌ただしさが交錯したような独特の気分になっている中、午前3時には床から抜け出してバタバタと身支度をして出発。 家を出たときには周囲には誰もいなかったのに電車を乗り継ぐ毎に、そして羽田空港に近づくにつれて人が多くなります。 帰省ラッシュで満席の便は6時半の定刻に離陸し、おかげさまで8時過ぎには千歳空港に降り立っていました。数日前の大寒波もウソのような素晴らしい天気でまずは幸先のいいスタートです。続く帯広までの約2時間の特急列車の自由席は殆ど満席でしたが列の一番前に並んだおかげでなんとか座ることも出来てこれも幸運でした。 車窓から見る北海道の広びろとした雪の大地はとてもまぶしくて、厳しい冬の姿を想像出来ないほど美しい風景が続きます。 帯広着11時半。お昼は千歳空港で調達した北海道ならではのお弁当を車中で楽しんだので帯広に着いたときには腹ごしらえもしっかり済ませており、あとは道東の冬の大地に漕ぎ出すだけになっていました。 まず襟裳岬のコケワタガモ、アラナミキンクロに行く余裕があるかどうか。 結論は時間が足らない・・・・ となると何処によるか。 結局一度は見ておきたい鶴居村のタンチョウの給餌場所に立ち寄ることにしました。 ドライブすること2時間余りで無事到着。3時前ですでに日は西に傾いてはいましたがたくさんのタンチョウを見ることが出来ました。 おまけにエゾシカの家族も飛び入で姿を見せてくれました。
残された今日の予定は一路今夜の宿を目指すのみ、というわけで宿のご主人から言われていた午後6時前には無事霧多布の宿「えとぴりか村」に着いたのでした。 今夜の同宿は偶然にもかねてから知り合いのIさんやAさん御一家で、大晦日の特別料理や年越しそばを楽しみながら年が改まるまでの時間和やかに語りあいながら行く年を惜しんだのでした。 この夜一番印象に残ったこと。 それはあまりに美しい冬の星空でした。 厳しい寒さにもかかわらず双眼鏡を夜空に向けて、オリオン大星雲、アンドロメダ星雲、スバル、冬の大三角など、豪華な冬の星座をIさんと共に楽しむことが出来ました。
2006年1月1日 狙い:浜中町でユキホオジロを見た後根室半島の漁港を巡る 天気:晴
2007年の元日の朝、宿の皆さんと一緒に霧多布の岬で初日の出を拝むことから始まりました。 水平線に多少雲があるものの、まずは絶好の条件で、美しい初日の出を拝むことが出来ました。 この前に初日の出を見たのは何年前のことだろう? 何処で見たのかさえ思い出せないほど、遠い昔のことなのです。 宿の餌台に来るハギマシコの群を見ながらの朝食は、またまた宿のオーナー心づくしのおせち料理とお雑煮でした。 さて、戦闘準備完了でこの日の最初の目標であるユキホオジロのポイントに向かいます。 その前に霧多布の岬やアゼチの岬から海上を遠望。 シノリガモ、アカエリカイツブリなどの他、ウミスズメ類と思われる小さな海鳥が海上に浮いているのが確認出来ました。 でも遠くて種類を識別するまでには至らずです。 ユキホオジロは前日にしっかり見られているので期待が大きく、それだけに丁寧に捜したつもりでしたが、1時間以上にもわたって積雪に足を取られながらの奮闘もむなしく、見つけられず、その間に別の情報も入ってきたりで、ついにあきらめざるを得ませんでした。その後は根室半島の漁港めぐりです。先行しているSさんから情報をもらって納沙布岬にほど近いトーサムポロ漁港のオオホシハジロ♂を確認する事が出来ました。 でもコスズガモは確認出来ずです。 その後納沙布岬、歯舞漁港、花咲漁港と周り、納沙布岬ではワシカモメの群やオジロワシ、花咲港ではコオリガモ、クロガモ、ビロードキンクロ♀などを確認、その後さらに落石岬を目指しましたが到着したときにはすでに日は落ちてしまい観察は出来ませんでした。前日にはハシブトウミガラス、ウミバト、エトロフウミスズメ等が見られていたのですが、残念!! さて今夜の宿は風蓮湖のほとりにある鳥見宿「風蓮」です。 到着してみてビックリ、今夜の同宿の方々はまたまた顔見知り、しかも日頃行きつけの谷津干潟でいつもお世話になっているKさん、Yさんのお二人だったのです。遠征した時に泊まるところが鳥見宿の場合にはこのようなことがよくあって、この世界の狭さというかネットワークのすごさを実感するのです。宿のあるじも共に食卓を囲んだ楽しい夕食を済ませ、明日の行動へのアドバイスを頂き、今夜は早めに休む事にして部屋に引き取り、この日記を書いて本日の鳥見旅の終了です。 あえて珍し目といえばオオホシハジロくらいでしたがコオリガモやクロガモなど、北海道ならではの海ガモ類を間近に見ることができて幸せな一日でした。 でも一つ悔やまれることがありました。 スペアのデジカメ用の電池と充電器を家に置き忘れてきたようです。 一瞬真っ青になってしまいましたが、同宿のYさんからとりあえずのスペア電池を譲っていただき事なきを得たのでした。 感謝です。
1月2日 根室〜斜里〜帯広 狙い:ヒメクビワカモメを見に斜里港を目指す。 雪−晴れ−雨−雪
朝、目を覚ますと文字通り「シンシン」という音を立てて雪が降っていました。天気予報よりも半日早く降り出した雪に出鼻をくじかれた格好ですが、今日は斜里まで遠征した上に帯広まで戻るというこの旅行最大の強行軍。しかも帯広に向かう時刻は大雪が予想されています。 多少の雪は覚悟の上、めげてはいられないのです。 同宿のお二人と、宿の御主人との朝食、6種類の手作りジャムを楽しむことが出来ました。 降りしきる雪の中、8時過ぎに宿を出発、R244で100キロ先の斜里港を目指します。 途中の知床半島の根元の山地を越える根北峠が難所です。 北海道も3日目ともなると雪道の運転にも少しは慣れてきて、降りしきる雪をものともせずに快調に距離を稼ぎます。直線の雪道を雪煙を巻き上げながら疾走する車、とても自分が運転しているとは思えません。 しかしそれも標津町までのことで、峠道にかかるととたんにスローダウンを余儀なくされ、下りのヘアピンカーブでは、クラッシッュしている2台の車を見たり、自分でも危うくスピンしかけるなど、凍結した雪の山道の怖さを実感しました。 しかし峠を越えると天気は一変、青空が広がり風もさほど強くはありません。 ちょうど3時間で無事斜里漁港に到着、早速防波堤を捜索です。 しかし目に入るのはオオセグロ、たまにシロカモメ位で目指すヒメクビワカモメはお出ましになりません。 帰路の余裕を考えると捜索できる時間はせいぜい1時間半。 その時間もあっと言う間に過ぎ去り、見切りをつけなければなりません。居合わせたバーダーによれば、今日は海が穏やかなので沖合いにいるのだろうとのこと。かわりに斜里港から15分ほどウトロよりの知布溜漁港のウミガラスを教えていただきました。 早速急行したことは言うまでもありません。 ウミガラス3、ハシブトウミガラス1、ケイマフリ1を確認できました。 さて後はひたすら帯広に向けて急ぐだけです。 距離は少し長くとも山道を避けて平坦な道をたどります。斜里−標津−中標津−釧路−浦幌−帯広のルートを採ります。約250キロの道のりは普通ならどうと言うほどの距離ではありません。 釧路までは降雪もさほどではなく、釧路では雨になりました。しかしR38に入って帯広が近づいた浦幌あたりからは激しい雪に悩まされスピードも大幅ダウン、車もじゅずつなぎとなりました。 結局宿に入ったのは午後7時前、車は雪とツララで覆われ雪だるまになっての6時間近くに及ぶノンストップ耐久ドライブでした。 午前中と合わせて9時間のドライブと2時間半の鳥見。 無事宿にたどり着いたときは本当にほっとしたのでした。 さて明日の予定はもちろん一日かけてでもナキハクチョウを探し出すのが目的です。 R38の北側の田んぼ゛をメインに捜索いたします。 「どうか天気が回復いたしすように」と祈って今夜はゆっくり休む事にしましょう
1月3日 帯広 狙い: ナキハクチョウを探し出し、返す刀でコアカゲラもゲット 天気: 霧/晴れ
早朝目が覚めて昨夜の雪がどうなったか気になり、外を確認しました。 満点の星空、天気予報も午前中は晴れとのご託宣です。安心してもう一眠りして床を抜け出したのが6時半、まだ外は十分明るいとはいえませんがそれにしてもなんか変・・・ よく見ると一面の濃霧です。 これは考えていませんでした。 明るくなるにつれて霧の濃さも増してくるような気がします。 視界は100mもないかもしれません。 これでは雪に覆われた広い野原を広い範囲で捜索することは出来ません。 大雪の後晴れ上がり、放射冷却で霧が出たのでしょう、川沿いが特に濃いようです。 宿で聞くと9時過ぎには晴れ上がるとのことでした。 そのつもりで出発しましたが現地に着いた9時頃になっても一向に晴れる気配がないの晴れるのを待つ間林の小鳥を観察すべく、帯広畜産大学周辺の林に向かいました。 あわよくばコアカゲラなどと思いながら。 アカゲラ、カラ類の群れ、マヒワなどを楽しむうちに周辺もきれいに晴れあがりました。 10時頃でしょうか。 勇んで川沿いの雪原に向かいます。 しかしそこはまだ深い霧に包まれたままで相変わらず見通しは利きません。 それでも近くは見通すことが出来るようになったので、カーナビの地図を頼りに捜索を開始しました。 時々霧の向こうから鳴き交わすハクチョウの声が聞こえてきます。 11時過ぎになるとさしもの濃霧も急速に消えて広大な雪の平原の全貌が見えてきました。 猿別川の西側、国道38を挟んで北側と南側、西側を十勝川の蛇行で限られた範囲をたった一人で限られた時間内で捜索するのは正直へこたれそうでした。 気を取り直して猿別川から丹念に探します。 オオハクチョウの群れは所々に降りていて、新雪を掘って餌を採っています。 小さい群れは4羽程の小家族から大きい群れでは120もの大所帯も見られました。 さらに時折10羽前後の群れが十勝川温泉の餌付け場所の方から飛来したり逆にそちらのほうに飛び去ったりします。 殆どの範囲を一通り見終わったのは制限時間が近づいた午後1時半頃になっていました。 残された時間で当初見られたという帯広川付近と、一時姿を見せた十勝川温泉の餌付け場所を確認しました。 特に餌付け場所は新雪で餌さ採りが難しくなった鳥が移動しているかもと期待しました。 が両方とも外れ。 一体どこに行ってしまったのだろう。 疲れがどっと出てきました。 なにしろ昼食もとっていませんから。 ナキハクチョウが見つからないでナキチュウサンだー などと馬鹿を言いながらも最後まで諦めずに走り回った結果ですから納得です。 午後3時、レンタカーを帯広駅前の営業所に返却して鳥見旅は実質終了。 今回の走行距離は4日間で1066Kmでした。 千歳空港に向かう特急「十勝5号」は帰省客で超満員、当然ながら立ったままの2時間でした。 でも心配した雪による遅れや、飛行機便の決行などはなく、午後10時には羽田空港、11時半には無事自宅に帰ってきました。
今回の総括
見られた鳥の種数:39種類 主に海の鳥でした。 初見の鳥はハシブトウミガラス、ウミガラスの2種 これでLL391となりました
期待していて外した鳥 : ユキホオジロ、ヒメクビワカモメ、ナキハクチョウ、コアカゲラ コアカゲラは別にして、他の3種は前後して回ったIさん、Sさん、Aさんが見ているので残念、探し方が悪いのでしょう。 次回の楽しみがまた、増えました。
お天気 : 年末の厳しい寒波が続くのではと心配しましたが、終わってみれば天気には恵まれ、鳥見時刻だけを見れば4日ともすべて晴れ、唯一悔しいのは最終日の霧、これで3時間はロスした。
ドライブ : 雪の北海道を自分で運転するのは初めて。 周りを見てもチェーンを装着している車は少なく、さすが慣れているなと思いました。 日常がこれなのですから当然ですが。 途中ブレーキングの失敗で車輪がロックしたのが2度、いずれも事なきを得ましたが改めて雪道での運転に油断は禁物ということを思い知らされました。
1月4日 Chusan記
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